板橋 かつてデザイナー系ブランドが好きだった人たちに向けて「TOKYO解放区」を作ったというエピソードからも伝わるように、“デザイナーを大切にする”という取り組みを誰よりも大事にしてくれているのが寺澤さんなんじゃないかなと思ってるんですよね。今、量販店なのか、ブランドなのかを区別が出来ない子達がたくさんいて。その違いを知らないと量販店もブランドも同じって思っちゃうかも知れないけど、どういう人が作って、どんなことを大切にして、何をお客様に伝えたいのかっていうことをちゃんと伝えようとしてくれる寺澤さんがいるから、「TOKYO解放区」がデザイナーに信頼される場所になっていると思います。
寺澤 ありがたいですね。でも、あんまり実感がなくて。そうやって言ってくださるかたもいるけど、社内だとけちょんけちょんに言われることも多いので悲観的かもしれない(笑)。
板橋 えっ。どういうことを言われるの?
寺澤 うーん……やっぱり、まず、とにかく売り上げを求める人は多いですよね。新人デザイナーさんはまだ初めからはそんなに売り上げは沢山は取れないから。よしえさんみたいに思いを受け取って言ってくれる人が外にたくさんいるのも知ってるし、本当にありがたいなと思うんですけど、日常はあんまりそうじゃないので、ネガティブに捉えてしまうことが多いかも。
板橋 でも、いろんな企画の中で、寺澤さんのやりたいことと売り上げが重なって、爆発を起こしたこともありますよね。
寺澤 そうですね。数字数字っていう人もいろんなタイプがあって。目に見える企業としての業績だけを求める人もいるけども、もう一方で、売り上げが取れるっていうことはお客様の支持率っていうことでもあるからって、納得のいくような形でアドバイスを言ってくれる人もいて。「TOKYO解放区」をやっている意義をきちんと理解してくれる仲間もいたりはするんですね。そういう人の言葉も総合的に考えながら振り返ってみると、よしえさんと一回目にやった二階堂ふみさんとのイベントはまさにそのうちの1個。成功するというか、売り上げという形でお客様の支持が跳ね返ってきた企画だったなと思いますね。

「幅広い世代の方に見ていただけたふみちゃんとのコラボは
 まさに『TOKYO解放区』でやった意味があった」(板橋)

板橋よしえ 寺澤真理

——2015年8月26日〜9月8日にかけて、Candy Stripper 20周年を記念した二階堂ふみさんとのコラボアイテム「FUMI NIKAIDO〈Roots〉Candy Stripper」を目玉に出店しました。 寺澤 一番最初に、キャンディストリッパーさんと何かやりたいですねってなった時に、「実は二階堂さんと洋服を作ろうと思っている」っていう話を聞いて。二階堂さんがファッション好きな芸能人の方のお一人だなっていうのは存じ上げていたので、ぜひやりましょうということになって。ただ、二階堂さんはお洋服を作ることは本業じゃないので、好きだからこそのこだわりを持ちつつ、商品というプロダクトに落とし込まないといけない。自己満足の作品作りではなく、誰かに届けて買って頂ける商品にしないといけない。そのバランスはなかなか難しい作業なんですよね。さらに、「TOKYO解放区」は、ただ芸能人の方とコラボをした、だけではないものに挑戦しなきゃいけないので、よしえさんは大変だったと思う。
板橋 まさに、ふみちゃんと一緒にコラボが出来たことを、楽しいね、嬉しいね、ということだけで終わらせるのではなく、「TOKYO解放区」でやらせてもらうのであれば、一本芯の通ったテーマを持って、洋服作りへの想いも一緒に届けよう、と。ふみちゃん自身が本当に好きなもの、そして欲しいと思うもの。インスピレーションはふみちゃんが育った沖縄で、中学生の時に初めて訪れたライブハウス「ゴールドディスク」で受けた感覚。 日本のトラディショナルなものとアメリカのオールディーズがミックスされたアイテムを作りました。当時、伊勢丹が館として上げていたテーマが「和」で、〈Roots〉のコレクション内容ともちょうどぴったりあって。スカジャンが爆発的なヒットアイテムとなりました。
寺澤 二階堂さん、イベントの前の日に設営に来て、夜中の3時くらいまでずっとやって下さったんですよ。しかも、勉強会もやって下さって。
板橋 ふみちゃん直々にヘアメイクの勉強会という場で、スタッフの方に指導してくれて。〈Roots〉が誕生したストーリーやデザインに込めた想いなどを伝えてくれて、ふみちゃんの洋服作りへの並々ならぬ想いの強さを感じました。
寺澤 「やるんだったらちゃんとやりたい」って言ってくれて。本当に1からよしえさんとしっかり作り込んで下さったし、トレンド性にもぴったりだった。しかも、当時のよしえさんとの対談記事で、「ファッションでいいものは高いなりの理由がきちんとある。お金と時間と手間はそれなりにかかるものなのだ」ってことをきちんと言ってくれて。売る場所の人やデザイナーさんは常に思ってることなんですけど、私たち売る側やデザイナーさんが言うと、あなたたちの利益を確保するために言ってるだけでしょって思われてしまうと思うので、そうやって伝える力がある人に言ってもらえたこともよかったなって思ってて。
板橋 芯の通った言葉が詰まった対談でしたね。
寺澤 本当にインフルエンス力(=影響力)のある方ってそういうことなんですね。影響力のある人がきちんと正しいことを言ってくれたので、あれはありがたかったな、と。苦労した甲斐がありましたね。
板橋 本当によかったなと思いました。普段ご縁のなかなかないメディアなど、多方面からの取材も来ていただけて。キャンディストリッパーを知らない方だったり、男女問わず、幅広い年齢層の方々に見ていただけたので、まさに「TOKYO解放区」でやった意味があったと感じました。