Candy Stripper デザイナー 板橋よしえのおしえて好きなひと 第一回 木村カエラ
「カエラちゃんは常に第一線で輝いている。
光を放ち続ける源を知りたい」(板橋)
——(笑)今回、対談連載の第1回のゲストにカエラさんをお呼びした理由を教えてください。
板橋「カエラちゃんはずっとリスペクトしている存在なんです。すごく誠実な人だなあって。自分の気持ちに向き合って、常に新しいことを発信していて、本当に凄いなあって。そして、ずっとその輝きが消えないところも凄い!」
木村「え、本当? 消えてないかな(笑)」
板橋「うん。みんなの背中を押してくれるような強い光だったり、あたたかい気持ちにしてくれるような穏やかな光だったり……常に光を放ち続けてる。一緒にいてこんなにもワクワクさせてくれる存在ってなかなか出会えないもん!」
木村「あははははは! 第1回目誰呼ぼうかなっていうところで私の名前があがって声をかけてくれたっていうのがすごいうれしいですね。たまらない(笑)。一番最初に思い出してくれた人、みたいな感じじゃないですか、大事な時に。それがうれしいです」
板橋「ポップアイコンになれる人って本当にひと握りの人。惹きつけられてしまう魅力は内面から滲み出ているものだと思っていて。カエラちゃんが常に光を放ち続ける源を知りたいなって」
木村「いやいやいや。アイコンかどうかは自分ではまったくわからないんですよ。でも、輝いてる輝いてないっていうところで言うと、人から見てどうというより、自分の中で、〈ちゃんと好きなことやれてるかな。自分にウソついてないかな。自分の本当にやりたいことって何なんだろう〉みたいなことを自問自答してる時に、やれてないことがあると自分が輝いてないなって思うの。そうすると無性に気持ち悪くなってきて、探し始めるんです、たどり着くまで。これ楽しい!ってなるまで、探してしまう。で、無理はしない。輝きがパーンってなってる時とほわんほわんほわんってなってる時が自分の中にあって。常にパーン!とはやらないしできない。常に幸せを保てないじゃない? でも、その“ほわんほわん”が消えないようにっていうのはすごく気を付けてる。それは、木村カエラとして表に出るとかそういうことじゃなくて、自分自身として生きる時に気を付けてるけど、それはみんなそうだよね?」
板橋「うん、そうだね」
木村「そうだよね。誰だって楽しくないと輝きが失せてくるから。常にチャージをしていたいんですよ、何か」
板橋「そこなのかな。常に自分に満足しないで新しい何かを探し求め続ける姿勢というか」
木村「でも、よしえちゃんだっていっつもパーン!としてるじゃん。私は結構、波があるんだよね。それが作品に露骨に出るからわかりやすいんだけど、よしえちゃんはずっとパーン!としてるじゃん」
板橋「してる?」
木村「してるよ。だから逆にそれはなんでなの?」
板橋「うーん、自分のためっていうよりも、誰かのために動くことが自分の喜びで、それが結局自分のためになってるのかもしれないけど」
木村「返ってくるんだね」
板橋「作った洋服を『かわいい〜』って言ってもらえるとうれしいし、さらに着てもらえたりするともっとうれしい。喜んでくれている顔を見て、また頑張ろう!って」
木村「それでちゃんと自分の中でまわしてるんだね。よしえちゃんはいつも変わらずに穏やかで、やさしくて、すごく憧れるの。私は本当に波がすごいから。元気は元気なんだけど、考えるモードに入り出すと、見つけるまでは抜け出せなくなったりするから。だから、すごくうらやましい。表に出ちゃうの、顔に。笑わないとか。自分を守らなきゃいけない時には笑えない、オープンにしないっていうか」
板橋「でも、母になってからめっちゃ強くなったよね」
木村「なった! それはめっちゃくちゃなった!」
板橋「守るべきものができたら、めっちゃ強くなったなって」
木村「うん。よしえちゃんも増したよ」
板橋「増した?(笑)」
木村「うん。やっぱり今は私も、さっきよしえちゃんが言ったように、人のために何かできることが今の自分の支えになってる感じ。一方的に自分が与えようって思ってた時期もあったんだけど、今は、逆に人に与えつつ自分ももらっていくっていう軌道にうまく乗ってきて」
板橋「リズムができてきたんだ」
木村「そうそう。最初は吐き出すだけだったんだけど、作る作品によって自分も元気になるっていうモードに自分が突入し始めてて、だから、今すごく気持ちが良くて」
板橋「そのやり方が合ってるんだね」
木村「うん、きっと合ってるんだと思う。人に与え続けると自分を無視するでしょう? 人が良ければいいって思ってると自分をおろそかにするから、自分がどんどん輝きを失っていくっていうことに途中で気づいて。それは違うなって思って。自分が輝いてないと人にもパワーをあげられないし、自分のことを書いて自分を元気にしないと人も元気にできない。だから、ウソがあっちゃいけないっていう。ウソをつくのは嫌だから、自分の好きなこととか、ウソつかずに人に元気を与えるっていうことを今はなんとなくやってる」