Candy Stripper デザイナー 板橋よしえのおしえて好きなひと 第二回 二階堂ふみ
「着ると自分自身がポップになる。
そんな洋服を作り続けるよしえさんはすごい」(二階堂)
——おふたりがコラボした「FUMI NIKAIDO〈Roots〉Candy Stripper」の時はどうでしたか?
板橋 「和」をテーマにふみちゃんのすごく好きな「スカジャン」というアイテムに取り組むことになって、自分では作ったことのないモチーフだったし、いちから勉強するような感じだったので、とてもやりがいがありました。刺激的で楽しかったですね。悩むこともすごくあったんだけど(笑)。
二階堂 私もいろいろなことをやらせていただいたので、すごく勉強になりました。
——「和」というテーマは二階堂さんから出てきたものだったんですよね?
二階堂 はい。日本の中で発展していったロカビリーとか、日本だけどちょっと異国な雰囲気がとても好きで、沖縄出身っていうことも関係してるのかもしれないですけど、日本と異国とのフュージョンみたいなことがやりたいんですと、その時、よしえさんに話したんです。
板橋 だからブランド名を〈Roots〉にしたんだよね。あれから何年たったのかな?
二階堂 2015年ですよね。10年ごろ前、私が東京に来て仕事をし始めた時は、原宿に今よりもっと強くストリートカルチャーの色が残っていて、Candy Stripperはそういった原宿で作られた文化の中心的存在として、お洒落に興味を持ち始めた子が必ず通る道だと思っていました。実際に着てみると、自分自身がポップになるような気がして。そういう洋服を今も変わらずに作り続けてらっしゃるよしえさんはすごいなと思います。ずっとCandy Stripperに楽しませてもらってきたので。続けていくことが何より難しいことのような気がします。
板橋 そうだよね。私の場合、子供ができてから仕事のスタイルががらりと変わって、新しく生み出すことは絶えずやらなくちゃいけないし、新しく見せる方法もつねに考えなくちゃいけないことなんだけど、それが前より少し勇気のいることになってきたというか。だからふみちゃんの姿を見ると、誰もやっていないことに挑戦したり、他の人とは違う切り口を見せたり、そういうことを恐れずにやっているところが本当にすごいなと思うんだよね。
二階堂 いえいえ(笑)。
板橋 その源が知りたい。つねに新しいことをやって、自分のモチベーションを保っていく方法っていうのかな。
二階堂 よしえさんがさっき「新しく見せる方法」っておっしゃったみたいに、何かを改良して、より良くしていくようなことにすごく惹かれます。根本的に好きなものはずっと変わらないので、好きなものをずっと好きでいられるための改良というか。
板橋 私も好きなもののベースは全然変わらない。でも思い切りもっとやったほうがいいのかなとか、もうちょっとブレーキを踏んだほうがいいのかなとか、一度考えちゃうかもね。
二階堂 私もいったん考えるんです。でも前まではいろいろなものに抗っていた時期があって、それが勢いだったり、その時でないと出ないパワーみたいなものにたぶんつながっていて。だから10代の頃のインタビューを読むと恥ずかしいです。全部燃やしたいくらいなんですけど(笑)。
板橋 燃やしたいって!(笑)
二階堂 ただインタビューとか作品とか、それがすべて残っているので、自分を振り返るきっかけにもなるんです。考えてみると、「やってしまえ感」でやったことはそれほどなくて、あれもこれも何でもやるというより、毎回けっこう考えて行動してると思います。
板橋 直感も鋭いのかな? いつも間違いのない選択をしてる気がする。
二階堂 間違ったこともおそらく多々あると思いますよ(笑)。
板橋 あはは。そんなことないよ!