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Candy Stripper デザイナー板橋よしえの「おしえてすきなひと」 第4回 相澤樹

「洋服が好きになって、
自分が好きなものを主張できるようになった」(相澤)

板橋 何か大きく変わるきっかけがあった?
相澤 なんだろうな……あ、今、思い出したんですけど、母親に「浮き草みたいに生きてたらダメだ」って言われたことがあって。小さい頃にちょっといじめられてたんですよ。私、子供と接しないで過疎で生きてたから、小学校で子供達がたくさんいることにびっくりしちゃって。あの子、あれだよねって言われて、仲間外れにされて。自分の意思はあるけど、遠慮して言わずに、誰かの意見に合わせて頷いてたら、お母さんに「あんた、川に流れる浮き草みたいだ。いろんなところに漂流して、その場しのぎで生きていったら、楽しい人生にならないよ」って言われたんですよ。それがきっかけだったかも。それが小4。自分の意思を持ってやっていかないとダメだって。
板橋 ヴィヴィアンのショーを初めて見たのと同じ時期だね。
相澤 そう。すごく仲間外れやいじめが流行ってた時期だったけど、自分でちゃんと考えるようになって。みんなに流されて一緒に無視をするんじゃなくて、自分に無視する理由がなかったら、周りのことは気にせずに話しかけるようにしたりしてた。そうすると、今度は自分が無視の標的になるんだけど、だったら、私、一人で平気だわって。忘れてたけど、そこからですね。それで洋服が好きになって、自分が好きなものを主張できるようになったんだ。やっぱり洋服を好きになったのが大きいかな。
板橋 勇気を与えるいい話。自分の表現するものを見つけたんだね。
相澤 初めて言った、この話。ずっと忘れてたから。

板橋よしえ相澤樹

「一番年上のファンだし、
キャンディへの愛は誰にも負けません(笑)」(相澤)

板橋 ミキティには、本当に定期的に会いたい!と思うんですよね。
相澤 私も会いたいですよ。ファンだから。あははははは。一番年上のファンだし、キャンディへの愛では負けないですからね。私はよしえさんがまだ学生の頃から、ストリート雑誌で見てて。なんて派手な人なんだろうって思って見てた。その後、よしえさんが「文化屋雑貨店」でバイトしてた時も会ってて。
板橋 え、ほんとに!? すごい。
相澤 そうなんです。ブルマ履いてて。勝手にストーカーみたいな感じになってるけど。最初は、文化屋雑貨店でバイトをしてた人と、キャンディストリッパーのデザイナーさんが同じ人だとはわかってなくて。のちに、文化屋のオーナーだった長谷川義太郎さんから、よしえさんがバイトしてたっていうのを聞いて。あれ、あのブルマの人!って気づいて。で、中学校の時にキャンディストリッパーの仙台店ができて。その握手会に並んで(笑)。会って、握手してもらったんですけど、すごい緊張してて。「しゃ、しゃ……」って、写真撮らせてくださいって言えなくて帰るっていう思い出があります。
板橋 そうそう。それを後で教えてくれたんだよね。
相澤 そうなんです。年齢は私がちょっと下なんですけど、私も自分で洋服を作って、仙台で売ったりしてて。よしえさんは学生の頃から自分でブランドをやってた、いわば、先駆け的な存在なんですよね。作る洋服もすごいパンチがあって、個性的で、すごく刺激的でした。
板橋 うー、めっちゃ嬉しいよー。その後、会ったのっていつだっけ?
相澤 アシスタント時代に1回、会ってますね。「Zipper」の連載で、うちの師匠(飯嶋久美子氏)がキャンディの連載ページをやる時に現場に入って。でも、まだアシスタントだったから、そのあと、22歳の時に独立して、「Zipper」をやるようになってからですかね。
板橋 スタイリストさんってたくさんいるけど、ミキティはディレクションができて、ブランド愛も強いから、この洋服をこういう風に見せた方が絶対に可愛い、面白いっていうところに導いてくれるんですよね。それが押し付けじゃなく、ブランドの意図を汲み取ってくれつつ、それを何倍にも広げてくれる。だから、いつも自分が想像していた以上のものになって返ってくる。それが楽しくて、いつも、大切な撮影やファッションショーをやる時には必ずお願いしています。
相澤 そんな風に言ってもらってありがたいですね。ただのファンなので(笑)。
板橋 ミキティはずっと見ていてくれるんだよね。 楽しいときも辛い時も、どんなときも応援してくれてる感じ。
相澤 よしえさんにはこのまま突っ走って欲しいですね。500キロくらいで。
板橋 あははははは。
相澤 いろんな人を乗せて、引っ張って、時代を作っていって欲しいですね。それが一番ですね。すごい車掌なんで、その電車にずっと乗っていたいなって思います。

あいざわ・みき
2005年よりフリーのスタイリストとして活動開始。エディトリアルを始めアーティスト、広告、CMなどジャンルを問わず活躍中。 衣装デザイン、エディトリアルディレクション、空間プロデュースなど多方面の活動も行なっている。<著書>Re BON bon!(祥伝社)、kawaii図鑑(文化出版局)、他
いたばし・よしえ
1995年、服飾系専門学校在学中に「Candy Stripper」を立ち上げる。1996年、株式会社ミニストリー設立。2017年、Candy Stripper BLACK collectionをスタート。PUFFY 大貫亜美とのブランド「ROMPUS」が今年15周年を迎える。