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Candy Stripper デザイナー板橋よしえ連載「おしえて好きなひと」 第8回 夢眠ねむ

「大成功を収めた人が、自分で終止符をうって、
 新しいことを始めることには勇気がいる」(板橋)


夢眠 さらに、よしえさんもそうなんですけど、家族や友達、ファンの子も含めて、周りの好きな人たちが出産ラッシュで。ママの声を聞くことがすごく多くなって。たぬきゅんのぬいぐるみが、おちびちゃん達の最初のお友達になるっていう経験を今、すごくいっぱいしてて。
板橋 娘も大好きだよ! 私が出産した時に、ねむちゃんがたぬきゅんのパペットをプレゼントしてくれて。小さい時から見ていたから、すごく好きになって。ねむちゃんがやったイベント「たぬきゅんEXPO」で大きなたぬきゅんと会った時は、びっくりして固まってたんだけど、今はその時の映像を見て、自分が持ってるぬいぐるみと映像を見比べながら「いっしょ! いっしょ!」ってニコニコしてる。
夢眠 今、そこに喜びを感じていて。しまじろう先輩やアンパンマン先輩に続けるように頑張りたい。アニメ化が夢だし、引退したら絵本を書いたりしたいし、おチビがギャアギャア泣いても来れる本屋さんみたいな規模感でやりたい。
板橋 助かる〜、そんな優しい本屋さん! たぬきゅんなら、先輩たちに続くのも夢じゃないかもだよね。
夢眠 みんながママだったら許せるから。映画館もやってるよね。子供が泣いてもお互い様みたいな。
板橋 ママズクラブシアターだ。
夢眠 そうそう。亜美ちゃんやあっこびんも子供向けのライブをやったりしてて。先にお手本でやってくれてる人たちがいるから、そういうのができる場所になったらいいなと思ってて。
板橋 子供が小さいと、なかなか一緒にライブを楽しめる機会がなくて、観たいライブも我慢することが多いから、そういう機会が増えるのは、本当に嬉しいな〜。
夢眠 パンケーキ屋さんを呼んだりとか。お店には行けないけど、出張で食べられるとか。ワークショップもやりたいし。楽しい催しを小さい規模でいっぱいできたらいいなっていうイメージではいます。まだネタ帳の段階だけど、引退後は年相応の遊びもできたらいいなって思ってて。今はちょっと年齢を若くして、タピオカ飲んだりしてるけど(笑)、等身大で歳を重ねていって、でも、楽しいことが作れる場所になったらいいなっていうのがあって。でも、アイドルの時の繋がりは変わらずで。ママになったファンの子達がライブに来れないっていう声を聞いたりもするから、みんなでライブDVD を見て笑うとかもできたらいいなって思います。
板橋 ぜったい行く!

板橋よしえ 夢眠ねむ


夢眠 待ってます! よしえさんにもなんかやってほしいな。本屋さんという形態はとるんですけど、遊び場が作れたらいいなって。誰しもね、転職したらそういうのやるんだっていう思いがちなやつだけど(笑)。例えば、よしえさんとお洋服作ったりできたらいいなとか。今までも、「もっとやりたいね!」って言ってたことをたくさんできたらいいなって思ってて。本好きな人にしかわからないことだけじゃなく、間口を広げた多目的書店にしたくて。
板橋 うんうん。ぜひ! 何かしら関わらせてくださいませ。ねむちゃん世代の女の子たちってちょうど悩む時期というか。このままでいいのかなとか、スキルアップのために次のステップを考えたいなって思ったときに、ねむちゃんみたいに大成功を収めていて、順風満帆に見える人が、自ら活動に終止符をうって、新しいことを始めるっていうのは、みんなの励みになるんじゃないかなって。新しい人生を歩むことって、凄く勇気がいることだと思うし。
夢眠 怖いですよね。
板橋 しかも、どこかに所属するわけではなく、自分で新しい場所を作ろうとしてる。それって誰しも出来ることじゃないから、本当に凄いと思うし、新しいねむちゃんも皆の憧れの存在になると思うな。
夢眠 だといいな〜。始めるのって簡単だけど、続けるのと止めるのって、難しいじゃないですか。 ——やめるって決断するまでに迷いはなかったですか。 夢眠 自分自身ではなかったかな。どっちかというと、一人でやってることじゃなくて、グループでやってることなので、そこに迷惑をかけないようになっていうところだけでしたね。

板橋よしえ 夢眠ねむ

——未鈴さんがセンターを張ってる間はやめないんじゃないかと勝手に思ってました。 夢眠 新刊「まろやかな狂気2」で言及してるんですけど、彼女がいるうちはっていうだけが、私の理由になったら変だなっていうのは思って。未鈴ちゃんたちにも話した時に、そこがでんぱ組の好きなところなんですけど、全員が大人で。「ねむの人生だからね」みたいな。もちろん、一旦、悲しがってはくれるんですけど、「いや〜、偉いね。準備して、菓子折り持って」みたいな感じだったりとか。やっぱり、世代が上のメンバーはみんな一緒なんで、それぞれ考えることは近しいから。ねむはそういうやめ方が向いてるし、よかったねって、認めてくれていて。迷惑をかけないように段階は踏んだけど、応援してくれてるのがありがたくて。でも、次に行く人って、それが難しいことですよね。転職の時に引き継ぎ作業とか。私は声がでかいから、「やめるからさ、これよろしく」って言いまくったけど。
板橋 ねむちゃんがたくさんたくさん考えて決めた決断。まわりがみんな応援してくれたのは、ねむちゃんがみんなに愛されているのはもちろん、それだけ頑張っていたってことだよね。着々と準備を進めて前向きに卒業に向かっていったのも、悔いのないように全てをやり尽くしていったというのもねむちゃんらしいし、本当に凄いよ。
夢眠 私、明日死んでもいい、みたいなタイプの人ってすごいと思うんですよ。私は、明日死んだら、あれやれてないとか、部屋汚いなとか、いっぱい未練があるタイプなので、全部やり尽くしたかったんですよね。
板橋 ねむちゃんの話を聞いて、私もちゃんとやり尽くせてるのかなって、改めて、考えさせられる。いつも反省ばかりだから、もっと頑張らないとだなあって。
夢眠 私は辞めるっていう選択だったんですけど、よしえさんは続けてるっていうのが凄くて。だって、もうすぐ25年、四半世紀でしょ。
板橋 ねー。気付いたらこんなところまで連れて来てもらえたよ。お客様と仲間たちみんなに本当に感謝だよ。わたしは、これしかできないからなあ。
夢眠 それが一番だよ。偉いよ、続けるのって。
板橋 そう言ってもらえると、続けてきてよかったなと思う。もっと頑張る!(笑)