Candy Stripper デザイナー板橋よしえ連載「おしえて好きなひと」 第10回 武井咲

「母になってもキャンディストリッパーを
 続けていく強さを尊敬してます」(武井)

板橋よしえ 武井咲

——武井さんはキャンディストリッパーの洋服やデザイナーである板橋よしえの魅力はどんなところにあると感じてますか? 武井 よしえさんが作る世界観が好きだったし、人とは違う個性みたいなところがキャンディにはあると思ってて。中学生高校生の頃は全身キャンディにしてたんですけど、私の中で、新しいカルチャーとの出会いでもあったんですよね。違う自分になれるとか、人と違ってもいいんだっていう自信をもらえる洋服だなって思っていました。年齢を重ねるうちに、選ぶものは変わっていったけど、よしえさんに会いに展示会へ行きたい気持ちは変わらないし、よしえさんが今作るデザインはどういうものなんだろうっていうところにはずっと興味がありますね。
板橋 嬉しいな。
武井 だから、今でも展示会に行かせてもらって、自分の好きなものを選んで、届くのを楽しみに待ってる。選ぶものは変わっても、よしえさんが生み出すキャンディの新しいデザインの可愛い洋服たちを着れる喜びは全然変わらないし、よしえさん自身も出会った時から変わってなくて。今となっては、お互いにお母さんになったりしてて。私自身もびっくりなんですけど(笑)、ママの話ができることも楽しいし、娘さんに会えることも楽しみだし、また新しい家族ぐるみでも……。
板橋 新しい付き合いが始まったよね。また次のステージにいった感じ。
武井 あはははは。そう。よしえさん、私の中では変わらない存在だし、母になってもキャンディを続けていく強さを私はすごく尊敬してますね。同じ世界にいて、1を話すだけで10わかってくれる、なかなかいない存在だと思う。
板橋 泣いちゃうよ、そんなこと言われたらー! 私、咲ちゃんには格好悪いところも見せてるんですよ。子供が生まれて、私と娘の2人だけの初めてのお出かけで、初めて会うお友達が咲ちゃんとママだったんですよ。初の2人でのお出かけにすごい緊張しながらも電車に乗って、もうすぐ目的の駅に到着するぞ、とホッとした瞬間、娘から漂うウンチの臭い・・・。オムツ替えの出来るトイレに駆け込んで、いざ替えようとしたら、肌着からその上の服からコートまでお漏らししちゃっていて。ギャー! どうしよう……と。数時間会うだけだからと着替えも持たず、オムツも1枚しか持たずに家を出て来てしまった自分を呪いました(笑)。すぐさま待ち合わせ場所に向かっている咲ちゃんに「咲ちゃーん、助けてー!」と連絡をして(笑)。向かう途中、道すがらの薬局で少量のオムツパックを購入してもらえないかとお願いをして。その間に、近くのお店で娘の着替えを一式購入してお着替えをさせて……とドッタバタ!
武井 あはははは。数時間だけと思っていたし、初めてすぎてわからないよね。私とママで手分けして町中にオムツを探しに行ったんですけど、新生児だから、Sサイズのオムツがなくて。結局、新生児を抱えていた別のママさんに「オムツを1枚いただけませんか?」ってお願いして。優しい方で1枚、譲ってくれたんですよね。
板橋 咲ちゃんとママのおかげでことなきを得たんですけど、もう、本当に申し訳ないやら恥ずかしいやら。そんな格好悪い姿も見せてます。咲ちゃんは、誰もが知る女優さんだというのに、見知らぬ方に声をかけてでもなんとかしようとしてくれて。そんなところも咲ちゃんらしさが出ているというか。本当に飾らない、しなやかで自然体な人なんです。咲ちゃんとママがなんとかしないと!って一所懸命になって助けてくれたこと……本当に感謝しかないよ。
武井 あはははは。よしえさんの人間っぽいところというか、焦って慌てふためくところを初めて見れた気がしましたね。
板橋 全力で助けてくれたよね。あのときのことは一生忘れられない。
武井 でも、初めて会う友達が私だったっていうのは、びっくりだったし、すごく嬉しい気持ちだった。絶対に大変な時期なのに、声をかけてくれて。娘さんにも会わせてくれたことが、すごい嬉しかった。そういうストレートな人だから、私もストレートでいけるんだって思いましたね。