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Candy Stripper デザイナー板橋よしえ連載「おしえて好きなひと」 第16回 TERU(GLAY)

「ずっと音楽をやり続けない。
飽きちゃいけないという信念がある」(TERU)

板橋よしえのおしえて好きなひと

——GLAYもキャンディも今年、節目となる25周年を迎えます。 板橋 兄さんの、これからを進む上でのモチベーションの保ち方を聞きたいなと思うんですが。
TERU ずっと音楽をやり続けないってことかな。大袈裟に言えば、年に半分、音楽をやって、年に半分は遊ぶくらいでいい(笑)。20代30代のときは四六時中、音楽のことを考えていていいんだけど、俺の信念として、飽きちゃいけないっていうのがあって。その中でも、「歌に飽きない」っていうルールを作ってやっていて。「やばいな、これ。ちょっと嫌いになるかも」っていう瞬間が訪れたら、思いっきり遊びに行きますね。自分の好きなことをやりにいく。「この日、休みもらいます」って言って、マネージャーには1週間、絶対に何も入れるなよオーラを出して(笑)。一本でも仕事が入ったら、めちゃくちゃ長いメールを送って。
板橋 あははははは。そのメールはめちゃめちゃ怖いね。他のアーティストのライブを観にいって、刺激を得て頑張ろうっていうのはでなく?
TERU 全く違う分野だね、俺の場合は。
板橋 思い切り遊ぶとまた歌いたい気持ちが湧いてくる?
TERU また違うアイデアが出てきたりするんだよね。例えば、夏にニュージーランドに10日間くらいスノボをやりに行ったりすると、日本で流れている音楽とは違う音楽が流れているし、マネージャーがいるからやってこなかったことをあえて自分でやる機会を作るのも大事かなと思ってて。日本語が通じない環境に自分を置いて、車1台借りるにも、自分でやりとりして。カーナビいらないって言ったはずなのに、カーナビついてるとか(笑)。そういう、今更しなくてもいいのかもしれない経験をしたりもして。音楽の場合は、プロとしての仕事をきっちりしないといけないけど、遊びや旅行ならそういう失敗はしてもいいから。アウトプットの仕方が、ミュージシャンの中でも俺は違うのかな。普通の人はソロをやったり、もう1つ、自分で音楽と向き合ってみるとかもあると思うけど。
板橋 普段とは違う環境に身を置くことで、全く違う発想が浮かぶんだね。
TERU そうだね。あとは、全く違う音楽だったらやりたいなっていうのもあって、一昨年に自分で函館にスタジオ作って、自分個人の音楽も作ってみたいなって。そういうアウトプットも見えてきた。それも、いろんな場所で遊んできたからこそ思えたことなんじゃないかなって思う。よしえも25年もやってきたんだから、自分にご褒美っていうことを考えて、小さな一室でもいいから、デザイン用の部屋を借りて、そこに籠もってデザインとかしてみたら。世界が全然変わるかもよ。壁紙とかも全部、自分の好きなものにして。

板橋よしえのおしえて好きなひと


板橋 確かに。いいね、自分だけのアトリエ……(遠い目)。
TERU そういうことだと思うよ。会社に貢献してきたからこそ許されると思うし。「いいと思うよ」って言ってくれる仲間もたくさんいると思うし。
板橋 そんな発想全くなかった。
TERU 好きなものばかり置いてね。俺がスタジオを作ったのは、もっと違うアウトプットを自分で作ってみたいと思ったからなんだよね。あと、来年50歳になるんですけど、55歳の生き方ってなんだろうって思った時に、55歳で今のようにバリバリやるのは大変だろうなって。55歳は30周年なので、30周年を超えたら、もっともっと音楽を自由に楽しめる環境を作っておきたいなっていうのでスタジオを作ったっていうのもある。たぶん、今後、スタジオに入ってレコーディングするっていうことが、なかなか難しい環境になってくるだろうし、CDもなかなか売れない状況になってきてる中で、1枚のアルバムにそんなに予算をかけられない時代が来るだろうなって。じゃあ、今のうちに自分のスタジオをもっておけば、そこで自分で作れるし、GLAYも予算を考えずにやれるんじゃないかって。
板橋 先を見る目が的確だよね、いつも。
TERU そうしないと不安っていうのもあるよね。不安の裏返しかもしれない。
板橋 自分はそんなに先のことを考えられないから、すごいなって思う。目の前とちょっと先のことだけで頭がいっぱいいっぱい! 兄さんみたいにちゃんと先のことを考えてる人の話を聞くと、わたしももっと考えないとなって思うんだけど……。
TERU まだそういう年代だからじゃない? 50歳を目前にしたら、なんとなく焦るよ。50過ぎたら何をやるんだろうって。そういう焦りの中で、それぞれが今のうちにやれることを準備している感じだね。