Candy Stripper デザイナー板橋よしえ連載「おしえて好きなひと」 第16回 TERU(GLAY)
デザイナー板橋よしえが大切な友人や一度会ってみたかった人々と、様々なことを本音で語り合う対談連載。
第16回目のゲストは“モンスターバンド”と称されるGLAYのヴォーカル、TERUさん。
今年の5月にメジャーデビュー25年になるGLAYと、同じく11月に25周年を迎える
キャンディストリッパー。20年前に友人の紹介で知り合って以来、長年、家族ぐるみでの
お付き合いがあり、お互いに「親戚のような存在」と語るふたりが今、見据えるものとは——。
「キャンディは心も自由に楽しくなれるブランドだと思う」(TERU)
——キャンディストリッパーとTERUさんのコラボは約20年間続いていますが、そもそもの発端は覚えていますか。
板橋 覚えています! 原宿のオフィスにいたら、ある日突然、テッコ兄さんから電話がかかってきて「よしえちゃん、今から行っていい?」って。「大丈夫だよ〜」って返事をしたら、テレビのスタッフさんたちを連れて、すぐにやってきた(笑)。
TERU そうだっけ!?
板橋 そうだよー! 急にみんなを連れてきたからびっくりしたんだけど(笑)、そこで、EXPO(※GLAY EXPO 2001 GLOBAL COMMUNICATION)に向けて一緒に何か作ろう! という話になって。
TERU 2001年か。「GLAY GLOBAL COMMUNICATION」っていう番組をやってて。その番組で「知り合いいませんか?」っていう話になって。じゃあ、キャンディストリッパーのよしえちゃんを訪ねて行こうっていう流れになったんだ。
板橋 兄さん、いつも思いついたらすぐ実行! だもんね!
TERU 相談する前に動いちゃうからね。あはははは。
板橋 (笑)かわいいBOXパッケージ付きのTシャツを作ることになって、兄さんのアイディアで「2001年だから、2001枚発売しよう!」ということになったんだけど、会場で即完してしまって。追加分をキャンディの原宿店で販売しようということになったんだけど、そのときおもわぬ事態になって。
TERU そうそう。限定Tシャツを店頭販売したら、(キャンディの)お店から原宿の駅まで人が並んじゃって。
板橋 ありがたいことに想像以上の大反響で。せっかくファンの方が並んでくれたのにも関わらず、ほとんどの方が手に入れることが出来ずに悲しんで、ちょっとした騒動になってしまって。これは大変だ! と慌てて、テッコ兄さんに電話をしたら、すぐにお店に来てくれて、ファンの方へ直筆のお手紙を書いてくれて。その手紙を店頭に貼らせてもらったら、波が引くようにサーーーッと鎮静化しました。あのとき、兄さんは神様みたいだ……! と思った!
TERU それ以来、限定はやめようっていう話になってね。
板橋 事前に予約ができるようになりました。
TERU 去年はChocomooちゃんと一緒にやらせてもらったよね。
板橋 それもね、打ち合わせに行ったら、いきなり兄さんが「よしえ、Chocomooちゃん知ってる? 今回のコラボ、一緒にやったらおもしろいかなーと思って! 今から呼ぶね」って。今から!? って(笑)。
TERU いや、ちょうど歩いて5分くらいのところにChocomooちゃんのスタジオがあったから。
板橋 そしたら本当にすぐにChocomooちゃんが来てくれて。兄さんが今回のコラボのイメージを話してくれて、兄さん、チョコちゃん、キャンディという順番で、みんなでリレー形式でデザインしていこうということになり。制作はまだ先で大丈夫ということだったから、まだ少し余裕があるなあーって思っていたら、打ち合わせの数日後に兄さんからラフが上がってきた(笑)。本当に、行動が早い!!!
TERU もう頭の中に全部出来上がってるからね。せっかちなんで待てないんですよ。
板橋 私もせっかちな方だけど、それを数倍上回る早さでいつも本当に驚かされてます。兄さんはレスポンスも早いから、いつもスピーディに物作りが出来てる印象がある。
——数々のコラボをしてきているなかで、どんなことを感じてますか。 TERU キャンディは、心も自由に楽しくなるファッションを目指してると思うんですね。そこに、男性で、俺みたいに全く畑が違うバンドのヴォーカルが一緒に入ってデザインすることがいい刺激になるんじゃないかと思うし、GLAYのファンの子たちが、キャンディを知ってくれたり、キャンディのファンがGLAYを知ってくれたりするっていう相乗効果もある。それに、キャンディのパンダ(※PEPE)を俺が描いてみたり、逆にGLAYのグッズのデザインをしてくれたりとか、お互いに可能性を引き出しながらやってきてるなって感じます。
板橋 本当に、いろんなことをやっているね。キャンディの15周年の展覧会で、書き下ろしのイラストをアンディ・ウォーホルみたいに木箱にシルク印刷をして飾ってくれたり、20周年の展覧会のときは、お皿に1枚だけのスペシャルなイラストを描いてくれたり。あと、ドット柄のつなぎも作ったよね。
TERU あれ、すごい人気あったんだよね。
板橋 キャンディで作るときは、ゆるっとしたシルエットのつなぎが多いけど、兄さんは「もうちょっとタイトなシルエットがいいな」とか、「ライブで動きやすいようにストレッチが効いているのがいい」とか、作りたい物のイメージがいつもはっきりしているからとてもやりやすいし、普段のキャンディでは作らないものが生まれたりするのが面白いなと思います。あと、メンズならではのこだわりもあって。生地はもうちょっと厚い方がいいなとか。
TERU 手を上げたときに、汗ビッチョリで色が変わらないTシャツがいい、とかね(笑)。でも、あそこにキャンディがなかったら、俺、原宿を歩かないですよ。よしえと知り合ってからだよ、奥まで入れるようになったのは。怖くて入れないよ、田舎者は。
板橋 いやいやいや。スターが何をおっしゃってるんですか。
TERU キャンディに行って、よしえに顔をだして、近くにあるお店で食べて帰ってくるっていう習慣ができて。自分の中でのいいサイクルが見つかったし、よしえのおかげで、そういう原宿の楽しみ方もできるようになりましたね。