Candy Stripper デザイナー板橋よしえの「教えてすきなひと」 第三回 秋元梢
デザイナー板橋よしえが大切な友人や一度会ってみたかった人々と、仕事や人間関係、ファッション、音楽、映画、本、旅や人生など、さまざまなことを本音で語り合う対談連載。
第3回目のゲストは、Candy Stripperのスタッフの一人と言ってもいいほど、親密な関係を築き上げているモデルの秋元梢さん。
世界を舞台に活躍する彼女の行動力と発信力はどこからくるのか——。
「梢ちゃんはもう身内です。みんなのお母さんのような頼り甲斐がある」(板橋)
——秋元さんの最新のフォト&エッセイ「Kozue 2017-2018」にはよしえさんが撮影した写真も収められていましたね。よしえさんをフォトグラファーとして起用した理由から聞かせてください。
秋元 前回(2013年12月に宝島社から出版されたスタイルブック『秋元梢』)は初めてのスタイルブックということもあって、ガッチガチにカッコ良くしたかったから、あえて笑わず、誰も近寄らないでください!みたいな感じだったんですけど(笑)、今回は超プライベートで、日常を切り取ったものにしたくて。裏テーマとしては恩返しというか、自分がお世話になった人たちと楽しいことをやりたいっていうことから始まったんだけど、それ以上に、自分が自然体でいられる人にお願いしたいって思ったときに、よしえちゃんは切り離せない。だから、写真を撮ってってお願いして。
板橋 最初は「えっ? 私に撮らせてくれるの? 本当に!?」ってうれしい反面、錚々たる面々が名を連ねているので、大丈夫かな!?と。でも、その心配は無用で、撮影は楽しくて楽しくて仕方がなかったです。もうね、本当に可愛くて、たまらなかった(笑)。どこで撮っても、どの角度で撮っても絵になるから、至福の時間でした(笑)
秋元 大量に撮ってもらった中から、以前だったら絶対に選ばないよねっていう写真から選んでいって。本になったときに、自分があの時(2013年)から成長したんだなっていうことをすごく感じたんですよね。いろんな人と会って、いろんな経験をして、自分の感情が変わったなんだってわかったこともすごく面白かった。
板橋 うん、今の梢ちゃんがすごく現れた本になってると思う!
——そもそもの出会いはいつ頃ですか?
秋元 8年前の2010年くらいかな。初対面はよしえちゃんだと知らずに接していたんですよ。Candy Stripperっていうブランド自体は知っていたし、小学生のときに一人で電車に乗って、原宿に洋服を買いに行ったこともあった。でも、デザイナーさんの顔は知らなかったんですよね。それで、私がモデルを始めすぐの頃に、有明コロシアムで行われたファッションショーのイベントで、Candy Stripperのスペシャルステージに出ることになって。そこで、リハの時から一番動いていた人がよしえちゃんだったんです。「お弁当足りてますか?」とか、「不都合があったら言ってくださいね」って言ってくれていた人がショーの最後にデザイナーさんとして出てきたからびっくりして(笑)。あれ? 昨日からめっちゃ気が利いてた人じゃんって。でもそこから変に気をつかうのも違うかな、と思っていたら、知り合いのモデルの子から、「よしえちゃんに梢ちゃんの連絡先を教えていい?」って言われて、初めて一緒にご飯を食べに行って。そこからずっと、仲良くさせてもらってますね。
板橋 ショーの本番、梢ちゃんがものすごく可愛かったんですよね。ショーの中で、ひときわ目を惹いていて。見た目は可愛いんだけど、中身ははっきりしてて。リハから、「これはこうしたほうがいい」とか、裏番長というか(笑)、スタッフ側の立場に立って仕切ってくれてたんです。現場が円滑に回るように、全てをうまく進めるためにアドバイスをくれていて。だから、「梢ちゃんってすごいな、頼りになるな」と思って、楽しいから楽屋でも一緒にいて。
秋元 スタッフの一人だと思って、普通に喋ってたの(笑)。それこそ、Candy Stripperのパタンナーの子やスタッフの子、全員で喋ってて。最初にデザイナーさんとして接していなかったのは申し訳なかったな、と思うけど(笑)、最初から変に気を遣わずに普通に話せていたからこそ、今、こうやって仲良くなれたんだと思う。
——ショーの後に一緒にご飯を食べに行って、すぐに仲良くなった?
板橋 すぐでしたね。梢ちゃんって人懐っこいし、すごく喋りやすいんですよね。表裏なくいろんなことを素直に話してくれて。毎週のように会うようになって。
秋元 私は強気に見られるし、実際に思ったことははっきりと言うタイプでもあるから(笑)、割と人の話を聞くことが多いんだけど、よしえちゃんは、私のそう言う部分もわかった上で、すごく柔らかく包みこんで話を聞いてくれる。だから、自分が相談したい人になっていったのかなって。そのあと、新木場でやった15周年のイベント(2011年10月1日、2日)のときに、モデルはだいたい自分の出番が終わったら帰るのが常なんだけど、私だけアフターに残って。出演者やスタッフみんなの(よしえちゃんへの)コメントを聞いては、「そうだよね、みんな、よしえちゃんのこと、好きだからね」って泣きそうになるっていうくらいずっと一緒にいる(笑)。
板橋 梢ちゃんはもう身内っていう感じなんですよね。歳はちょうど一回り違うんだけど、妹みたいな可愛い時もあるし、ほとんどはお姉さんというよりお母さんみたいな感じで(笑)。
秋元 いつも、「子供が5人くらいいそうだよね、梢ちゃん」って言われる(笑)。
板橋 みんなのお母さんみたいな感じ。梢ちゃんに言えば、どんなときも明確に解決してくれる。とにかく頼り甲斐がある!
秋元 でも、私も、人に言いたくないなとか、言いにくいなっていうことも、よしえちゃんだったら言えるっていうのがあって。まず、包み込んでくれて、そのあとで的確な言葉を言ってくれるんですよね。カエラちゃんや(大貫)亜美ちゃんもそうだと思うけど、よしえちゃんと会うと、ほっこりするし、和むんですよ。だから、なんかあったときは、「よしえちゃん〜」って電話して、泣きながら話を聞いてもらうっていう。