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Candy Stripper デザイナー板橋よしえの「教えてすきなひと」 第三回 秋元梢

「自分の好きなのものを追求して、いろんな挑戦をしてきたからこそ
  今の私のスタイルがある」(秋元)

——いま、経験という言葉がありましたが、経験を得るための決断力もすごいですよね。 板橋 本当に。だって、マネージャーもつけずに自分の力でパリコレを訪れて、今やたくさんのファッションブランドから招待状が届くようになって。その行動力はどこから生まれたの?
秋元 こうやって聞かれて、今、振り返ってみると、うまくいってるように感じるけど、基本的には感覚的に、ノリで生きてるのかなと思う。パリに行ったのも、私はいろいろと言いたい人だけど、なにも知らないで文句を言うことはできないから、本場にいってみようってくらいのノリで行ってみて。
板橋 そこで、自分のモノにして帰ってきて。しかも、1回行ってみたっていうだけじゃなくて、回を重ねるごとに、いろんな人を巻き込んで、多くのデザイナーさんとあいさつを交わす関係になって……。   ——ジバンシーのリカルド・ティッシからのオファーで「VOGUE JAPAN」の表紙も飾りました。 板橋 梢ちゃんは先陣を切った人だったよね。今は、梢ちゃんのやり方を真似する人も出て来て。
秋元 そうなりたいって思ってくれてる子が多いのは嬉しいけど、誰かがやったことって新しくないから。私としては、海外に行って、自分の知らない見方ができたのはよかったかなって思う。
板橋 見知らぬ場所で、自分の場所を勝ち取ってくるってなかなか出来ないことだよ。本当、凄いなあ〜。
秋元 ま、英語喋れないんですけどね(笑)。ファッションが好きっていう共通項でみんなが集まってるからか、なんとなくのコミュニケーションは取れるし、そこの熱量をみんなわかってくれるし。それも、人が支えてくれてるからだと思うけど。
板橋 ただ行くだけじゃなく、ちゃんと自分で勝ち取ったものや自分だけのスタイルを発信してるっていうのが、梢ちゃんの人間的魅力だと思うんですよね。
秋元 私は、Candy StripperもSupremeもCHANELもLOUIS VUITTONも着る。何を着ても、何にでもならなきゃいけないのがモデルなんだけど、私は、自分が着てる服にしなきゃいけないと思ってて。無個性じゃなくて、私だからこれが似合うのよって見えるようにしたいとずっと思ってた。ただ、Candy StripperとCHANELって誰も組み合わせないけど、私は自然にやってて。小学生の時にはパンクロックやビジュアル系っぽいカッコをしてて、中学生になって原宿のストリートファッションと可愛いのをミックスして、高校と大学でギャル要素が入って、超派手な服やセクシーな服を着たりして。成長していったら、Candy Stripperに、マウジーとマーチンとハイブランドを合わせるようになってた。すごい変な組み合わせかもしれないけど、なんか合ってるなっていうのが自分の人生と一緒だなと思って。いろんなものを吸収してるけど、ロックっぽいとか、自分の軸がずれてないからそうなってるんだなって。自分の軸はずらさずに決めつけないことも大事。私は黒しか似合わないって思い込まずに、一度、着てみる。もしかしたら似合うかもしれないし、似合わないかもしれない。仕事に対してもそうだし、人に対してもそうですね。

板橋よしえ秋元梢

——盛りだくさんの対談となりましたが、最後に今後の目標をお伺いできますか? 板橋 Candy Stripperってポップなイメージが強いからか、たまにお客さんから、「年齢的にもう着れないんじゃないか」っていう相談をされるんですけど、自分のスタイルを貫いてる人は、年齢や性別、それに国籍も関係ないんですよね。梢ちゃんみたいに、幾つになっても、自分のスタイルで好きなものを選んで着れる人がもっと増えるといいなと思う。ファッションってもっと楽しいし、もっと自由なものだから。もちろん、TPOはあると思うけれど、そういう世界になったらいいなぁと思います。
秋元 日本人って人の目を気にするからね。でも、自分でも知らなかったことに後から気づけたら面白いから、いろんなチャレンジをしてもらいたいなと思う。私はよしえちゃんと出会ってから、ファッションも変わったんだよね。20代の時と、30歳になってから似合う服は、確かに違うかもしれない。でも、例えば、Candy Stripperで、10代の学生の頃だったらこっちの色を選んでたけど、今ならこれかな、とか、自分のその時の気分にあった服選びをいろいろと挑戦してきたから、今の私のスタイルがあるのかなって思う。だから、あまり周りの声を気にせずに、自分の好きなものを追求して、いろんな服を自由に楽しんで着て欲しい。あとは、私がCandy Stripperを着てることで、知らなかった人が知ってくれるのが嬉しいし、海外に行けばどんなことができるのかっていうことも伝えられたらいいなと思う。大きなことは言えないけど、何かしら自分がやったことで、モデルになりたいとか、洋服を作りたいとか、梢ちゃんが着てたCandy Stripperの可愛い服を着たいとか、少しでも思ってもらえたらいいなって思います。

あきもと・こずえ
アジアンビューティなビジュアルで、モードからストリートまで幅広いファッションシーンで活躍。2015年10月パリコレデビューを果たす。国内にとどまらず、海外の広告、雑誌、ショーなど活動の幅を広げる。
いたばし・よしえ
1995年、服飾系専門学校在学中に「Candy Stripper」を立ち上げる。1996年、株式会社ミニストリー設立。2017年、Candy Stripper BLACK collectionをスタート。PUFFY 大貫亜美とのブランド「ROMPUS」が今年15周年を迎える。