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Candy Stripper デザイナー板橋よしえの「教えてすきなひと」 第三回 秋元梢

「揺るぎない信頼感があるんですよね。信じられる存在なんです」(板橋)

 

——お互いに頼りにしているのが伝わってきます。 板橋 梢ちゃんはみんなの柱みたいな存在なんですよ。梢ちゃんの周りにはいろんな年齢や職種の人が集まっているんだけど、梢ちゃんがいてくれることで、みんなが安心して集まれる。
秋元 私は好きな人と嫌いな人がはっきりしてるから、好きな人には私も好きって思ってもらいたいっていうだけなんですよ。
板橋 誕生日会も率先して企画してくれて、みんなを楽しませようといろいろ考えてくれる。人を喜ばせることがとっても上手。梢ちゃんって、強く見えるけれど、すごく優しくて人一倍気配りやさんなんです。
秋元 よしえちゃんは恥ずかしいくらい褒めてくれるからね(笑)。私がモデルの仕事や現場での扱いについてどう思ってるかを全部、きちんと理解した上で接してくれるのが心地いいし、それだけ言ってくれるなら、もっと頑張ろうとか、こういう経験をしたんだよっていう話もしたいなって思う。

板橋よしえ秋元梢


板橋 揺るぎない信頼感があるんですよね。きっとおばあちゃんになっても仲良くしてるんだろうなっていう関係でいられる、信じられる存在というか。そんなにべったりはしてないけれど、梢ちゃん元気かなー?と思う頃に必ず梢ちゃんが連絡をくれるんです。それがすごく嬉しい。
秋元 よしえちゃんが紹介してくれた亜美ちゃんとか、カエラちゃんとか、後から、絶対にどっかで会っていただろうなっていう深い縁に気づくことも多くて。誰かと知り合ったときに、あ、ここも繋がってたんだねっていう時に、だいたい、よしえちゃんの名前が挙がったりする。そういう人たちのよしえちゃんに対する態度や行動を見ていると、こんなに愛される人っているんだなっていうのを、それこそ新木場の(アフターの)時のように感じるし、人を引っ張っていく人としても尊敬しています。
板橋 う、うれしい……。梢ちゃんにはたくさん好きなところがあるんですけど、もう1つ挙げるとするならば、好きなものは好き!と言えるブレない姿勢! 例えば、洋服をたくさん見る機会も多いし、いろんな洋服を着ているんだけど、Candy Stripperから古着からハイブランドまで、分け隔てなく着ているところがすごいなって。それは出会った頃からずっと変わらないんです。私は好きなものは好きだからっていう姿勢が。
秋元 だって、例えばブランドもののカバンをもらっても、好きじゃないデザインだったらいらないじゃない? それなら、自分が欲しい100均のカバンを持つっていうタイプ。
板橋 決して名前だけで左右されず、好きなものは同じように扱ってくれる。
秋元 それは、ものだけじゃなく、人に対してもそう。好きな人は好きだし、嫌いな人は嫌い。   ——そこが明確なんですよね。好き/嫌いの判断基準が自分の中にしっかりある。 板橋 梢ちゃんは、仕事柄いろいろな方に会う機会が多いと思うのですが、“有名だから”とか“人気だから”という部分にとらわれることなく、ちゃんと人を見て接することが出来るひと。梢ちゃん自身がどんなに有名になってもずっと変わらないんです。“自分”というものを確立しているから、好きなものは好きっていう姿勢が全然ブレない。
秋元 意識はしてないんですけどね。本当に小さい頃から親関係でいろんな大人を見てきて。「この人は調子がいいな」って思う大人もいっぱいいたし(笑)、すごい媚を売ってくるのに、裏では全然違うことを言ってる人も見てきてるから。だから、自分でちゃんとどう感じるかっていうことを大事にしていて。例えば「誰々ちゃん、嫌な子らしいよ」「そうなんだ」じゃなくて、自分が嫌なことをされたら、そのとき初めて、やっぱりあの子は嫌な子だったんだって思うというか。なるべく、自分の経験で判断するようにはしてるかな。

板橋よしえ秋元梢

——何か大きなきっかけがありました? 秋元 私はずっと強くいたんだけど、高校生くらいの時に、私の言葉のパワーが強すぎて、言いたいことを言えないって言う人が出て来ちゃって。仲良いグループだったんだけど、すれ違いがあって、すごい孤立した時期があったんですね。その時に、誰が信用できて、誰が話せる子なのか。どこまで心を開いていいのかの判断が全然わからなくなっちゃって。そこで、私は、洋服屋さんとか、メイクさんとか、学校の外で知り合った人にすごく助けられた気がしたんですよね。学校で何もできなくても、外の世界があるからいいやと思えたからこそ、学校にも行けた。でも、そのとき、自分がこういう言い方をしたら傷つく人がいるんだっていうことに気づけたことが大きかったと思います。お母さんにはずっと、「自分の当たり前が人の当たり前と思わないのよ」っていうことを言われていたから。節々で、こういうことって知る機会があって。自分はこの服は好きだけど、嫌いって思う人がいるのかとか、どういう言い方をしたら傷つかないのかなとか、相手のことを想像するようになりました。言ってることは今と変わりないし、受け取る人、感じる人次第ではあると思うんだけど、多少、気にするようにはなったかな。あとは、自分で考えて、この人が嫌いとか、これが嫌だと思ったら、自分で責任を持てばいいって思ってますね。
板橋 梢ちゃんが誰よりも気遣いが出来る人であり、人の気持ちがわかるのはこういった経験を経ているからなんだね。
秋元 やっぱり失敗してよかったと思う。全部経験からきていると思うから。 私は人生は割と感覚で生きていて。何か大きな目標を持って生きてるわけではない。楽しいことは何かって考えたときに、今はモデルの仕事だなと感じたら、モデルの仕事をする。デビュー当時は「千代の富士の娘がデビュー」ってなってしまったから、モデルとしか言われたくなくて、テレビの仕事は断ってもらっていたけど、「秋元梢」個人として認識して貰えるようになってからは、面白いからやってみようかなって思えたし、最近は、やってみないとわからないんだなって思うようになったし。ファンに対してもそう。アンチもたくさんいるけど、アンチの言葉にいちいち反応するんだったら、本を買ってくれたり、好きですって言ってくれたり、Candy Stripperに行って、「梢ちゃんが着てた服と同じのありませんか?」って買いに来てくれる子を大事にすればいいやって、吹っ切れたときがあって。自分のことを好きって言ってくれてる人に全力で向き合ったほうが健康的な気持ちにもなれるし。いろんな人の接し方を見てきて、自分はそれがいいなって思って。毒はいっぱい持ってるけど(笑)。
板橋 その毒も優しいからこそなんだと思うんですよね。誰よりも先に気がついて、いろんなことが見えちゃうから。その毒を吐けないと苦しくなっちゃうと思うんです。誰よりも先に気づいてる梢ちゃんよりも先に気づくことはなかなか難しいんですけど(笑)、サポートできたらいいなって思ってます、いつも。
秋元 誰よりも先に感じ取って、サポートしてくれてるよ。