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Candy Stripper デザイナー板橋よしえ連載「おしえて好きなひと」 第13回 TAKURO

「会社の仲間たちとずっと一緒に
やっていけることが奇跡だと思ってる」(板橋)

——お二人がリーダーとして掲げている、壮大な夢を教えてください。
板橋 私は会社の仲間たちとずっと一緒にやっていけることが奇跡だと思ってるから。1日でも長く、みんなが楽しく仕事ができて、1枚でも多く喜んでもらえるお洋服を作ること。それができるように努力すること。続けられるっていうことが幸せに思えるから、ほんとに楽しませていきたい。
TAKURO そういうことが夢だよね。ニューヨークに店舗を持ちたいっていうのは目標だから。夢と目標を間違えがちだけど。
板橋 そうだね。簡単では無いし、ぼーっとしていては続けられないから。そういうことが一番大変だし、自分の情熱を伝え続けることが大事かなって思う。じゃないと、ただ服を作って、売れるものを売りましょうっていう企業家になっちゃう。思いを持ち続けることと、その思いを伝えることが大事かなって思いますね。私、TAKUROくんに会うと、いつも頑張ろうっていう気持ちが湧くよ。それが服や会社に還元されるから、定期的に会うことで力をもらってます、師匠!
TAKURO あはははは。いつでもおいで。俺は、東京に行こうって言ったのは自分だったし、なんとか4人で力を合わせてやってきたから、夢は1つしか無い。いつかバンドが終わる時に「誘ってくれてありがとうね」とか、「GLAYをやっててよかった」っていう言葉を3人からもらえれば、それでもう十分ですね。俺はGLAYという奇跡の集合体に思い入れが強すぎて、他のバンドは預かれないんですよ。後輩バンドが入ってきても、何か面白いことがあったら、GLAYでやりたくなっちゃうし、いい曲があったら、その人たちにあげられないと思うの。  よしえちゃんは、会社を続けたい。俺はGLAYが終わったら、この会社もおしまい。偉大なロックバンドがそうだったように、願わくば、メンバーがいなくても音楽だけが残って、あとはもう、チリのごとく消える。世は全てこともなしっていう。忘れてくれてOKで、曲だけは残れって思う。だから、ちょっと冷たい言い方になるかもしれないけど、スタッフやファンの人たちは、同じ時代を生きるそれぞれの人たちで、4人はGLAYという擬人化された1つの生物の中で手となり、足となり、いつも一緒っていうイメージでやってる。だから、会社という組織の面で言うと、よしえちゃんとは逆の考えになっちゃうけど、GLAYの下でいろんな景色を見て、GLAYの下でいろんなことができるようになり、新しい情熱や新しい夢、目標を見つけたら、スタッフはバンバンと独立していい。俺にとってのGLAYをあなたたちも見つけてください、「俺たち4人のことはおがまいねぐ」って(笑)。それはファンの人たちも同じ。あなたの人生の中で糧になるようなことを1つでも感じてもらえたら、いつでも卒業してくれても構わないし、このアルバムはちょっと違うなって離れてくれても構わない。ただ、俺たちは続けられる限り、いつだって、どこにでも行かずにここにいるっていう。GLAYの動きに関してだけは、誰にも触らせないっていう気持ちで、組織作りから、環境作りからやってきたので。他の3人が自分の人生を悔いなく、好きなように生きてくれたら、俺としてはもうそれだけでいい。
板橋 そんなリーダーいいな〜。欲しいな〜。TAKUROくんカッコいいなあ〜。本当に、憧れです。

——最後によしえさんにTAKUROさんからメッセージをもらえますか。
TAKURO よしえちゃんは自分と同じようなものを持ってると感じられるからずっと仲がいいんだけど、かなり不器用な人だと思うんだよね。自分のキャパシティの中だけで起きたことは処理できるけど、世の中はそうもいかないじゃないですか。自分のキャパシティ以上のものが降りかかってきた時に、よしえちゃんはまず、周りの人のことから考えてる。そこは教えられたし、学んできたことですね。いっつも笑顔だなとか、いつも誰かのことを思っているなって。自分のことを置いておいて、今ある場所がもっと良くなるにはどうすればいいかっていうことを考えてる。それは、個人としても、会社のトップとしてもね。だから話が合うんだけど、そこに甘えがないのがちょっと心配。ほんとはもっと甘えていい。だから、俺に頼ってくれるじゃない?
板橋 うん、頼る。珍しいんだよね。私、あんまり人に頼らないから。
TAKURO ほんとは、もっと周りに助けたいって思ってる人がたくさんいるんだよ。だから、もっとわがままでいいと思う。GLAYの曲にもありましたよ。〈わがままを言いすぎるほどは人生は長くはないさ〉(Young Oh! Oh!)って。俺の場合は、早いうちから〈リーダーが煮詰まっています。明日飲み会やります。メンバー集合〉とか言って。ただただ飲んだり、メンバーに話を聞いてもらったりしてきて。一緒に飲むだけで、よしもう1回がんばろうって思う。めっちゃ弱さを出すリーダーなんですよ。それは薦めたいね。周りに頼もしい人はたくさんいるはずだから、もっと言ってもいいんだよっていう。
板橋 服作りでは悩んだとき、まわりのみんなに弱さを出してるけど、人生に関しては……。
TAKURO 人生のいろいろが解決されていけば、もともと才能がある人が努力してるんだから服は良くなるから、勝手に。それよりも、仕事が人生を追い越しちゃいけないよね。もっとたくさんの人たちに甘えた顔を見せてもいいのではないかと思います。
板橋 うん、わかった。ありがとう、お父さん! 今日もいっぱいいい話を聞けました(笑)。 

TAKURO(たくろー)
ロックバンドGLAYのリーダー兼ギタリスト。1994年にメジャーデビュー。現在GLAYは25周年アニバーサリーイヤー中。『GLAY DEMOCRACY』を掲げ勢力的に活動中。また、2016年からは、定期的にインスト曲を集めたアルバムのリリースや全国ライブツアーの実施など、ソロ活動にも力を注いでいる。
いたばし・よしえ
1995年、服飾系専門学校在学中に「Candy Stripper」を立ち上げる。1996年、株式会社ミニストリー設立。2017年、Candy Stripper BLACK Collectionをスタート。PUFFY 大貫亜美とのブランド「ROMPUS」も不定期に活動中。