Candy Stripper デザイナー板橋よしえ連載「おしえて好きなひと」 第22回 優香(3ページ目)
「言われたことをやることが正しくて、
自分の意見を言っちゃいけないと思ってた」(優香)
優香 あと、もう1つは、夫と母親とは喧嘩もしたけど、ちゃんと私と向き合ってくれたのが良かったのかなと思う。
板橋 優香ちゃんは、ずいぶん前は、自分の思ってることを言えなかったでしょ。それがちゃんと言えるようになったのはすごい変化だよね。
優香 そうだね。そんな話も散々したよね。仕事に対して、自分の意見をなかなか言えなかったんだよね。よしえちゃん始め、私の周りにいる人はすごく自立していて。人に言われて何かをするってことをしない人だったの。でも、私は17歳でデビューして、言われたことをやるのが正しいと思って生きてきてしまって。ずっと、意見を言っちゃいけないと思ってたのね。20歳になったら言えるかな、25歳になったら言えるかな? って思ってたんだけど、どんな年齢の区切りを迎えても、なかなか変わらなくて。でも、ずっとそうしてきたんだから周りは変わるわけないんだよね。自分が変わらないと、変わらないんだっていうことに、30歳手前で気づいて。そこから、だんだんと自分の考えてることを口に出せるようになって。
板橋 「優香ボディー」(※31歳になった優香が、スレンダーなボディを手に入れ、キレイになった秘密をすべて詰め込んだボディブック)を出した頃だよね。
>優香 そうそう。やっと言えたって言うのは、やっぱり、それまでに出会った人たちのおかげだなって思ってて。変わるまでにすごい時間がかかったけどね。
板橋 今までもやりたいことはちゃんとあったけど、それを伝えられなかったんだよね。きっと、相手を思いすぎちゃって言えなかったんだと思うな。
優香 嫌われたくないっていう、弱い部分もあったりとか。でも、自分で0から1を立ち上げてる人たちが自分の周りにはいっぱいいて。なんかすごいなって思ってたけど、「私、すごいなって思ってるだけでいいのかな」って思ってて。
——当時、今後は女優業に力を入れるという報道もされてました。
優香 私はコントも好きだし、バラエティも好きだから。何かに絞りたくはなかったの。ただ、量が多すぎて、もう、ちょっと手に負えないというか。新しいことをしたくなったときに、もう仕事の量は満タンで、体の限界も来てたから、何かを減らさないといけない。そう考えていたことが、やっと一歩を踏み出せて、伝えることができた。それが現実になるまでは時間かかりましたけど、自分なりのいいタイミングだったなって思って。それが30歳を超えたくらいかな。そこからなんとなく、自分の意識が変わって。仕事がすごく楽しくなっていって。
板橋 自分自身の本質に向き合って、精神的にもどんどんタフになっていったよね。優香ちゃんは年齢を重ねるごとにどんどん人として女性として、魅力が増していて、素敵だと思う。
優香 いやいや。自分はこういう人だって思ってることが違ってきたりもするでしょ。子供が産まれて、自分はもっと仕事人間だったと思ったけど、意外とそうじゃなくて。子供ができると、みんな外に仕事に出たくなるっていうけど、もちろん仕事はしたいけれど、軸として家庭というものを第一に考えていたいし、まずは家庭を守らなきゃっていうのが今は一番、強いかな。
板橋 今の優香ちゃんは迷いがなく見えるよ。自分自身から、自分ではないものが中心になることで、いろんなことがそぎ落とされて、より純粋に幸せに溢れてる感じ。
優香 ほんと、良かった。でも、守るだけでは良くないなって思ってるから、よしえちゃんとか、周りの友達にも会って刺激を受けていかないとな、とも思うよね。
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