Candy Stripper デザイナー板橋よしえの「おしえてすきなひと」 第6回 AMO
「みんなの生活の変化に合わせて、SNSを通した
ファッションの提案をしていかないといけない」(板橋)
——(笑)最後にAMOさんからよしえさんに聞きたいことがあるそうです。実家がある原宿に危機感を持ってるそうなんですが。
AMO よしえさん、今後の原宿はどうなっていくのでしょうか。
板橋 あははははは。重たいのがきたね。
AMO 私が憧れていた頃のこの街は、原宿系と一言で言っても、かなり細分化されていて。古着を重ね着しまくりの子もいれば、パンク、ゴスロリ、デコラ、森ガールとか。なんでもありだけど、みんな共存していたというか。すごく自由だったしパワフルだった。いまはもう、原宿系の雑誌がみんななくなっちゃったじゃないですか。SNSが一番の情報源なんだろうけど、流行が偏りがちな気もして、個性というものがティーンの子たちの中であまり重要視されていないように感じるんです。それぞれが色を発することはこのまま減っていくんでしょうか。
板橋 個性がいらない時代になってしまっているというか、全くないわけではないんだけど、そこまで主張する空気ではなくなってしまっているよね。自分は一人でも違う格好をするんだ、人と違くてもっていう、そこまでのファッション熱がある人がかなり少ないのかな〜とは感じていて。でも、ファッションを楽しみたいっていう気持ちはみんなあると思う。それをどう楽しむかは、やっぱりみんな、生活に基づいたものになっていってるのかなとは思うかな。みんなのライフスタイルが変化してるし、情報収集の場はSNSがメインになってるから、そこを中心としたファッションの提案をしていかないといけないなって思う。そこからファッションを楽しんでもらうっていう考え方がベストなのかなって。
AMO そうですよね。SNSも楽しいし、便利なんですけど……。
板橋 AMOちゃんは自身のスタイルと同様にインスタグラムもちゃんと世界観を確立させて発信していて、何を伝えたいのかが写真や文章から伝わってくる。憧れの存在でありながらも、身近な存在にも感じさせてくれるところがとても魅力的だと思う。
AMO やっぱり、発信する側としても、時代にフィットするやり方を常に模索し続けないといけないなと思いますね。SNSの使い方も常に勉強していかないといけない。やっぱり、何と言っても、若い世代がいつの時代も発信力を持っているし、若い世代に届くやり方じゃないと、流行って生み出せないと思うから。そういう意味でも、柔軟に、遠ざけることなく若者カルチャーを常に理解し続けていきたいなって思いますね。
板橋 キャンディも、考え方は同じ。大事にしているものは崩さないけれど、固定観念にとらわれずに、見せ方をいろんな側面から入りやすいようにするっていう。
AMO 本当にそうですよね。よしえさんのインスタを見ていると、キャンディの長年のファンの人に響くスタイルを常に発信してはいるんだけれども、「あ、この人に着せてみたんだ」とか、「こういう着こなし方もあるんだ」「こういうビジュアルの作り方もキャンディに合うんだ」とか。常に新しいことをし続けてるなっていう印象が昔からあって。
板橋 AMOちゃんにそう言ってもらえるのは、凄く嬉しいーー。
AMO 例えば、『Zipper』に載ってるキャンディは鉄板の可愛さだったけど、『ViVi』に載ってるキャンディも新しい可愛さがあったり。よしえさんは常に新しいことを柔軟な発想でチャレンジし続けてるんだなと思って。物作りをしてる人っていろんなタイプがいますよね。うちはこういうスタイルなんで!っていうのもブレないカッコよさがあるけど、よしえさんみたいに、自分という色は持ちながらも、いろんな可能性を考えながら、いろんな人に届くような、いろんな人にフィットするものを発信するスタイルに、わたしは魅力を感じます。
板橋 すごくわかる。自分のスタイルだけを貫いているところは、私もカッコいいなっていう憧れがあるし、そうありたいなとも思うけど、変わり続けていかないと一生楽しむことができなくなっちゃうとも感じていて。私は、できることなら、死ぬまで楽しくキャンディを作り続けて、いろんな人たちと楽しいことを共有していきたいなと思ってる。長く楽しむためには、大事な部分は崩さずに、常に柔軟にいるっていうやり方のほうがいいと思ってるんだ。そこは本当にAMOちゃんの考え方と通じる部分かな。作ってる人は変わらないわけだし、楽しみ続けるために変わり続けるっていう選択をしてる。……今、大事な話をした気がするね。今日はありがとう。
AMO いえいえ。こちらこそありがとうございました!
あも
モデルとして活躍するかたわら、2015年に自身のブランド「RUBY AND YOU」を立ち上げる。独自のファッションセンスはインスタグラムやコーディネートアプリWEARで絶大な支持を得ている。現在はmadame FIGARO.jpでブロガーとしても執筆中。
いたばし・よしえ
1995年、服飾系専門学校在学中に「Candy Stripper」を立ち上げる。1996年、株式会社ミニストリー設立。2017年、Candy Stripper BLACK Collectionをスタート。PUFFY 大貫亜美とのブランド「ROMPUS」が今年15周年を迎えた。