Candy Stripper デザイナー板橋よしえ連載「おしえて好きなひと」 第14回 大島美幸

「男性と対等に笑いを取れる女性の芸人は
美幸ちゃんの他にはいなかった」(板橋)

板橋よしえ 大島美幸

——よしえさんは、大島さんにたいしてどんなイメージを持ってましたか?
板橋 森三中、中でも美幸ちゃんは、女芸人の価値観を変えた初めての芸人っていうイメージがありますね。こんなに、男性と対等に笑いをとれる女性の芸人さんは他にいなかった。女性の芸人でもこんなに面白いんだ! ということをここまで世に認知させたのは、美幸ちゃんたちの存在がとても大きいんじゃないかなって思っていて。
大島 本当ですか? それはありがとうございます。
板橋 最初にTVで見た時は、身体を張った、時に狂気を感じるような笑いが本当におもしろくて。女性であることと仕事で成功することのバランスってとても難しい。しかも美幸ちゃんは芸人であり女性であり。美幸ちゃんと出会ってからは、生き様が素敵だなってリスペクトを抱いています。
大島 あら、うれしい〜。
板橋 なかなかああいう男社会の中で戦ってくのって大変だと思うのだけど、その中でもずっと貫いてやり続けてて。
大島 ああ〜、たしかにそうかもしれないです。負けるもんかと思っていました。男性社会だからっていうか、なんで違うんだろうって思ってたかもしれないですね。女芸人って言われるのも、べつに芸人でいいじゃんって思うじゃないですか。
板橋 そうだよね。男芸人って言わないもんね。
大島 そういうのはちょっと思ってましたけど、今はだいぶ丸くなりましたね(笑)。
板橋 それぞれとても個性がある3人がずっと濃い人間関係を持続させながらバランスを保ち続けていることがすごいなって思っていて。学生時代の女3人っていうと、必ず2:1になったりするイメージがあって。
大島 でも、私、意外に3人いいなって思ってます。2:1になっても、民主主義じゃないけど、そっちの意見に乗ったほうがいいんだって思えるし、ケンカした時も、3人で言い合う時もたまにありますけど、だいたい2:1になるから、「あ、自分の意見は間違ってるんだ」って思える。すごくバランスがいいかなって思うんですよね。1:1だと本当にケンカ別れしそうじゃないですか。1人見守ってくれる人がいて1:1でのケンカもできるので。
板橋 なるほど、それはいいね。
大島 はい。3人って、私の中ではバランスいいなって思ってるんです。
板橋 お互いを思い合える3人なんだろうね。
大島 みんなガツガツしてないんですよね、森三中って。だから、ちょうどいいのかもしれないです。もしこれで「よし、私が行ってやろう」とか、ガツガツしてる人が1人いたらバランスが崩れていたかもしれないです。今、むーさん行ってよとか、黒沢さん行けるでしょとか、分担してる感じがして。3人ってバランスがとれているんです。3人の個性もあるかもしれないですけどね。うちらの中では3人っていうのがバランスがとれてる人数かもしれないです。だからもう親戚みたいなもんですね。

板橋よしえ 大島美幸

——大島さんにとってお2人はどんな存在ですか?
大島 親戚の要素ありますし、友達の要素もちょっとあるし……うーん、不思議ですね。
板橋 何年一緒に活動しているんだっけ?
大島 今21年目ですね。家族よりも長く一緒にいるので、「あ、今日は調子良さそう」とか「あ、今日は大変そうだな」とか、何となく足音でわかったりしますね。
板橋 足音でわかるってすごいね。
大島 これは怒ってるぞ、とか(笑)。だから、仕事はしてますけど、20年一緒にいたらもう1個のジャンルになっちゃいますよね。親戚でも友達でも家族でもない、森三中っていう不思議な関係になってますね。
板橋 すごく良い関係だね。私にも相方がいたんだけど、10年で別の道に行ってしまって。
大島 私が最初に見た時はやっぱり2人組というイメージがありましたね。でも、10年一緒にいたんですもんね。長いですよね、10年って。
板橋 そうだね。当時は2人でいることがキャンディにとって大事なことだと心から思っていたから、もうブランドを続けられないんじゃないかと思ったりもしたけど、一緒に頑張ってきた仲間たちが「今度からわたしたちが板橋さんの相方になります!」と言ってくれて。こんな風に言ってくれる大切な仲間たちと、やれるかぎり頑張ろうって思って今に至るんだ。今は元相方と一緒にやっていた10年を超えて25年になって。
大島 1人になってからのほうが長いってことですもんね。ああ、すごい。でも1人はやっぱり寂しいですよね。
板橋 うん。最初は不安だったかな。
大島 私も1人で番組呼ばれたりする時は寂しかったです、最初は。どうしようって思いました。でも、とにかく一生懸命やるしかないって思って。3人でいる時はちょっと、誰かがしゃべってくれるだろうって思ってるところもあるから、1人だとやっぱり気が抜けないんですよね。