板橋よしえのおしえて好きなひと 板橋よしえ 渡邉直子

「私はポンポンや毛糸とか、異素材を組み合わせたりするので、
板橋さんのように楽しんでくれる人が少なかったんです」(渡邉)

 

——お二人の関係性からお伺いできますか。最初に出会ったのは?
渡邉 15年くらい前かな。私がまだ前の花屋で働いていた25歳の時に、あるブランドさんから頼まれて。キャンディストリッパーの池袋パルコのオープンに小さいお花を持って行ったんですよ。そしたら、板橋さんがそれをちゃんと見てくれていて。
板橋 友達の洋服の展示会に行った時に共通の知人に紹介されたんだよね。
渡邉 そうです、そうです。その展示会でご挨拶させてもらったら、「あ! ひとつだけあった! かわいいお花!!」って言っていただいて。私はキャンディストリッパーを知らない人はいないんじゃないかっていう世代で、ずっと憧れの的だったんですよ。学生時代から雑誌もいっぱい見てたし、持ってるものもたくさんあるし。だから、最初に会ったときは、「あ、本物の板橋さんだ! 雑誌の写真で見たより小さいっ!」って思いました(笑)。
板橋 あはははは。センスって言葉では説明がしようがないけど、「可愛い」っていう表現を共通認識できる人って、なかなかそうはいないんですよ。でも、直ちゃんのお花は群を抜いてかわいいと思って。「ぜひ、贈答用のお花をお願いしたい」っていうお話をさせてもらって。そのあと、ディスプレイもやっていると聞いたので、直ちゃんがやったら絶対にかわいいと思って、原宿店のディスプレイもお願いして。
渡邉 いろいろやらせてもらいました! 26歳で前の花屋をやめて、27歳で「てん.」を始めて。もともとお洋服が好きなので、ファッション業界の人とお仕事をさせてもらう機会を持ちたいなと思ってた頃なんですよ。その一番最初のとっかかりの方だと思います。私はポンポンや毛糸とか、異素材と組み合わせたり、花を躊躇なく染めたりするので、そういうものを単純に楽しんでくれる人の方が少ないんですよね。お花業界ではあまりよしとされてないこともやってきたんですけど、板橋さんなら喜んでくれる。「植物がかわいそう」っていう見方をしないで、ビジュアルとして見てくれるなって。
板橋 ディスプレイで毎月のように会っていたとき、私はいつも、直ちゃんのキャンディへの愛情にいつも感動してた。“キャンディの毒のあるかわいさをお花で魅せる表現は、誰にも負けません!”みたいな(笑)。直ちゃんは、キャンディの世界を理解してくれているし、新しく見せていきたい表現も誰よりも理解しようと努力してくれたり。そんな直ちゃんが作ってくれたお花を見たら、お店に来てくれたお客さんたちにもその想いが伝わって、絶対に喜んでもらえるだろうなって思って。直ちゃんにはライブやお誕生日の時のお花もお願いしていて、みんなに「かわいい! このお花屋さん、紹介して欲しい!」って言われることも凄く多いんです。阿吽の呼吸みたいに“かわいい”が通じ合えることがすごく嬉しい。
渡邉 そうですね。ある程度お題があって、それがバチッと合った瞬間が嬉しいですね。例えば、板橋さんにお題をいただいた時、私は板橋さんの頭の中を旅する感覚なんですね。その中で、きっとこういう感じだなっていうイメージにプラスして、私が花屋として、板橋さんに提案できることを20%くらいはミックスして現場に持っていく。それが喜ばれた瞬間はもう、「花屋をやっててよかった!」って感じますね。

板橋よしえ 渡邉直子

——一緒にやったお仕事で特に印象に残ってるのは?
渡邉 全部好きですけど、やっぱり、2011年の15周年のライブ会場を飾るっていうお仕事ですかね。私の中でも挑戦あったし、それを任せてくれたことに「よし!っ」て気持ちにもなったので。
板橋 会場はCIRCUS STAGEとFOREST STAGEの2ステージあって、CIRCUS STAGEはカラフルでPOPで会場にいるだけでわくわくするような空間、FOREST STAGEは童話に出てくるようなファンタジックな森を作りたかったんです。てん.チームには主にFOREST STAGEの装飾をお願いして。予算が莫大にあるようなブランドではないので、わたしのイメージする世界と予算は全然合わなかったと思うんです。それなのに「わたしはCandy Stripperが大好きだから、ブランドの世界を守りたいんです。せっかくやらせてもらえるなら、ちゃんとやりたいから、お金のことはいいんです!」って言ってくれて……。そんな心意気の人ってなかなか出会えるもんじゃない。実際、予想していたイメージ以上のものを作り上げてくれて、とても感動しました。「てん.」の皆さんは、とにかく気持ちがいいんです。直ちゃんの唯一無二のセンスにはもちろん、その心意気に、いつも感動してしまいます。
渡邉 お花って結局、枯れて残らないじゃないですか。私はその“残らない”っていうことがものすごく好きなんですよ。私は、残らないもの、消えていくもの、去っていくものを商売道具にしている。残らないものに対しては、気持ちくらいしか乗せられるものがないから、気持ちだけはいつも100パーセント純粋でやりたいなって思ってますね。
板橋 直ちゃんは、いつもここぞというときに「私がなんとかするんで、大丈夫です!」って支えてくれている感じ。本当に頼りにしてる!
渡邉 いやいや、とんでもないですよ。それだけ魅了するブランドだし、板橋さんも人を魅了する人だってことです。